ある日、友人から連絡がありました。「これ見て」という言葉のあとに一枚の写真が添付されていました。古いアルバムから切り取られたような色褪せた写真で、その中には私の親友である彼の幼少期を写していました。写真の背景には田舎の風景と、暗い影が見えました。
 夜になり、仕事を終えてから再度その写真を見ていました。目を凝らすと、その影が人の形に見えてきました。なんだか気色悪く思い、返事もせずにそのままにしておきました。
 翌日、彼からまた連絡が来ました。その中には同じ写真が添付されており、「写真見て。なんか違う」と書かれていました。彼の言葉通り、前日とは違った何かが写真に映っていました。それは、影ではなく、はっきりとした人の形が見えました。
 その写真の人物は、目を閉じていました。その表情は穏やかで、まるで眠っているように見えましたが、不穏な空気を纏っていました。
 次の日もまた、彼から連絡が来ました。メッセージはなく、例の写真だけが送られていました。写真に映った人物の目が開いていました。
 その瞳は、光を放つように明るく、まるで実際に見られているかのような錯覚を覚えました。その光の強さが、画面から伝わってくるようでした。写真を見る度に、背筋が凍りつくような感覚がしてきました。
 ひどく悪い冗談だと思い、もう送ってくるな、とだけ返信しました。
 その翌日、彼からの連絡が来ませんでした。こちらから連絡しても返事がありません。心配になり、電話をかけましたが、応答はありませんでした。そのまま彼の家に行くと、彼の姿はありませんでした。部屋の中には、その写真が散乱していました。その写真全てに、目を開いた人物が映っていました。その人物の目は、まるで私を見つめているようでした。私は恐怖に打ち震えながらも、その部屋を後にしました。
 その後、彼の行方は依然として分からず、その写真の人物も、その正体は謎のままです。

タイトル

写真の影

タグ
写真
投稿者
S. A.
投稿日
2023-07-15
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