深夜のカフェ

友人と深夜のカフェ。

向かいのテーブルに長髪の女がこちらに背を向けて座っている。私は静かにコーヒーを啜る。

急に停電し、辺りを闇と異様な静寂が包む。電気が戻ると、長髪の女がいない。

ホッと息を吐いたその時、長髪がテーブル下から覗く。その瞬間、友人の顔が青ざめ、指を震わせる。テーブルの下から女の反転した顔がゆっくりと覗き込むように現れる。目が虚ろで、口からは何か赤黒いものが流れ出ている。背筋が凍り、我々は逃げ出す。しかし、ドアノブはぐにゃりと歪み、やがて溶けて無くなり、出口は出口ではなくなる。

終わりの見えない混沌が回り始める、始まりは忘れ、やがて私たちは彼女とカフェで過ごす。