夜釣り
私は友人と、月明かりの下で夜釣りを楽しんでいた。突如釣り糸が引かれる。大きな引き、気張って釣り上げたそれは魚ではなく人間の足だった。
ぎょっとして吐き気を催したあと、思い出したように警察に通報、パトカーが2、3台、夜の闇を切り裂いて現れた。捜査が始まり、事情聴取を受けた。
空が白んで来た頃に私達はようやく宿に戻って眠りについた。
釣りのために宿までとってやって来たのにと、悔しくてたまらない私達は昨晩とは違うポイントで夜釣りを始めた。
糸が引かれる。重い感触。私達の顔色が変わる。心が波立つ。引き上げ、恐怖に塗れた顔でお互いを見やった。
前日と同じ人間の足。
その足が突然、蠕動し始めた。